3日目午前:早池峰神社/遠野伝承館
夜も明けきらないうちに霊山、早池峰へ。
今回は大迫町側にある早池峰神社に行ってみた。本当は山頂(標高1,197m)にある本宮も見て見たかったのだが、時間が無い(今回の旅はレンタカー。3日間で借りている)ため、断念。
大迫の方の神社のほうが遠野よりも神楽などでメジャーだから寄ってみたのだが、朝早く行っても資料館が開いているはずも無く、再び計画性の無さを露呈しつつも参拝だけして帰る事に。
もともと計画なんて立ててないからいいのだが。
で、早池峰を迂回して南側、遠野へ。
柳田国男の「遠野物語」など民話の里として知られる遠野。まずは「伝承園」を訪れることに。
中は農家の暮らしぶりを再現した園内で、「遠野物語」の話者として知られる佐々木喜善氏の資料や曲り家などを見てまわる。
左写真はその曲り家。もともと真っ直ぐだった家に、馬が住む部分を増築して出来たという人馬共同住宅である。
中では蚕を飼っていた。生涯2度目の蚕との対面。葉っぱの中でうねうねと蠢く大量の蚕。やっぱり好きになれねぇ。
ここで私が一番印象に残ったのが「御蚕新堂」。
くぐって入る小さい入り口の他は、四方の壁にびっしりと「おしらさま」が飾ってあるという異様な空間である。入った瞬間、強烈に圧倒されて一歩も動けなかった。このプレッシャーは写真じゃ分かりません。
「おしらさま」とは蚕の神様、もしくは目の神様として信奉されている神様であり、桑の木の枝を削り、先端に娘の頭と馬の頭を象った一対の棒状の神体に、幾重にも願い事を書いた布を重ね着しているものである。
なんで娘と馬か、というとこの「おしらさま」、元々は次のような民話が元だからである。
昔々あるところに貧しき百姓がいた。
妻はなく、美しく娘とまた一匹の馬と共に暮らしていた。
娘はこの馬を愛しており、夜になれば厩舎に行って共に寝ていたが、ある日とうとう馬と夫婦に成ってしまった。
ある晩百姓はこの事を知って激怒し、次の日に娘には知らせず馬を連れだして桑の木につり下げて殺してしまった。
これを知った娘は驚き悲しんで桑の木の下に行き、死んだ馬の首にすがって泣きふした。
これをみた父親は斧で馬の首を切り落としたのだが、するとたちまち娘はその首に乗ったまま天に昇ってしまったという。
〜『遠野物語』69話より〜
西洋のユニコーンの逸話や中国の民話とも共通する点がありますな。
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