右の写真はそこにある「毘沙門堂」。
巌の中にお堂をはめこんだような形は独特のもので、蝦夷(えみし)の砦を思わせる。
坂上田村麻呂が蝦夷の頭である悪路王、赤頭、高丸らを追い詰め征伐した時に、蝦夷が立て篭もった洞窟があったところだという。
田村麻呂が戦勝の御礼にと、その跡地に戦の神である毘沙門天を祭ったのだそうな。
しかし、実際はこの3人、同一人物なんだけどね。
「悪路王」というのは朝廷と戦った蝦夷の長の象徴的な存在であり、田村麻呂の鬼退治伝説の相手役として、いろいろな形で登場してくる奴なのである。
入って最初に「鬼を見たか」というムービーが流れているブースを通るのだが、これに結構ひかれてしまった。
自然の中に住む鬼、人を苦しめる鬼、そして子供達と無邪気に戯れる鬼。
それらが鬼に扮した能役者によって演じられていく。
最後、鬼と子供が戯れているシーンが「殺せ!鬼を殺せ!」のモノローグと炎によって破られ、
そして、「鬼を見たか」の文字。
真の「鬼」は人の心に住んでいるものであることを印象付けられるムービーであり、過去に鬼が民衆にとって身近な存在であったことを思わせるものだった。
館の中は東北地方だけでなく、世界各地の「鬼」について展示してあり、非常に興味深いものだった。まあ、遮光器土偶とか、鬼じゃないんじゃないか、というものも展示してあったケド。
個人的にはインドネシアのバロンの仮面があったのが結構驚き。まさかここで見るとは。
(バロンとはバリ島の祭りに出てくるインドネシア版獅子舞みたいなもの。)